ある交通死亡事故

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この記事はヤフーブログ廃止のため、井上労務コンサルタント事務所職員のつぶやきより転載しました。(加筆修正有)

なお、問題となる記述が含まれるかもしれませんが、少なくとも当方が故意についている嘘はありませんので掲載します。

任意の自動車保険に関して,、2010/3~2011/10月にかけて当事務所において、お客様に信じられないような事例がありましたのでご紹介します。かなり長文で読みやすい文章でもなく退屈かもしれません。しかし、保険会社の言いなりになっていたら3,050万円の支払いしか行われなかったはずであり、実際にはなんと3,389万円も多く支払われ当初提示額の2倍以上、最終的には6,437万円の支払い額になった驚くべき事例ですので最後まで読んでみてほしいと思います。

2010/3勤務先の車両で高速道路のアンダーパス入り口の壁面に激突→車両炎上。検死結果では頭部損傷により衝突時即死との見解。二十代の独身男性が死亡してしまった事故です。この方の場合の逸失利益等は独身ですので50%もの生活費分の減額があり、家族への慰謝料もないような事例ですがそれでも算定額は約6,000万円以上になります。

1)
第一に労災保険での補償です。こちらは車両運転時が、業務中か通勤途上かという問題を処理して、2010/8頃に通勤途上の事故であることと支払額887万円(特別加算額300万円を含む)という裁定がおりました。

この方のケースの場合、労災事故の処理の段階から社会保険労務士事務所として依頼をお受けしていましたし、無理に業務上災害と認定して勤務先の会社に長時間労働などの責任を問い、補償を請求できる規模ではありませんでしたので、2)のZ社の人身傷害保険の別居の未婚の子の他者運転担保の適用が不可とならないよう裁判例なども用意して通勤災害と認定をしてもらうかたちとしました。
このことによって、労災とQ社の人身傷害保険でまかないきれないであろう2,000万円以上の逸失利益と葬祭料100万円程度がZ社の保険から支払われる可能性が見えてきました。

2)
会社の車両はQ社にて付保、保険金額3,000万円の人身傷害保険があり支払い対象となります。ところがQ社はここからとんでもないことを始め、ご両親に保険金が支払われたのは一年以上経過した翌2011年春遅くのことでした…。

○車とともに燃えてしまったためか運転免許証がありません。本人が死亡してしまうと免許証の色などは残されたご両親や弁護士でさえ請求して確認することができないのに書類の不備で支払手続きが進められないと言ってきます。

本来、本件自動車保険の保険金の支払いには、免許証の色は全く必要がありません。また、焼失(見つからない)したであろう免許証が有効で、薬物・飲酒運転の可能性はないことも検死結果より判明しています。さらに、この保険会社は本来不必要であるにもかかわらず、自社の顧問弁護士が弁護士照会を行っても判明せず、ご両親も問い合わせることが不可能な免許証の色を保険会社に伝えなければ保険金を払わないと言い張るのです。(なぜなら現在の免許情報開示システムでは本人死亡で運転免許証が焼失したり、海難事故で本人とともに失われた場合の開示方法が存在しないのです)
結局、どうにもしようがなく各関係機関の温情にすがって、実際上の手続きの不備といえないこともないのであるからということで免許証の色を確認させていただき、伝えるまでQ社は支払いの手続きに入りませんでした。(無理なこと・難癖とも言えるようなことを引っ込めなかったということです)
私は依頼主にQ社は大手ではあるが、2010年3月期と2011年3月期に連続して保険金の支払いに関する件で、金融庁から注意を受けている会社と記憶している、訴えを起こした方がよいかもしれないですよと説明しましたが、故人のお母様が払っていただけさえしたらよい、争いは死んだ息子も悲しむような気がするということで訴訟はしませんでした。
ところがこの会社は、その後も次々に酷いことをします。そして最後に自分たちがまずいということがわかると、当事務所に何とかご両親がQ社を訴えないように説得・尽力して欲しい、遅延損害金の支払いはしたくない、当社のインターネット販売の自動車保険の支払いも同じ部署で査定しているので弁護士特約で仕事を廻すといってくることになります。(ちなみに、それから一年以上経過しますが依頼どころか葉書の一枚も来ないですね…)

○いざ支払う段になってくると、この方の場合は本来3,000万円がQ社から支払われるべきと思われるのですが、3,000万円から労災の支払額887万円を差し引いた2,113万円の支払いとの通告です。

本来Q社は、故人の計算逸失利益を60,013,171円と算定していましたので
60,013,171ー5,870,000(労災千日分の給付金)=54,143,171≧3,000万円ですので支払い上限の3,000万円を支払わなくてはなりません。ところがQ社はやってくれるのです。
30,000,000-5,870,000ー3,000,000=21,130,000円の支払いですといってきます。言わずもがな定額特支金三百万円は、このようにすでに補償された逸失利益として控除計算することはできません。それを除いても全くの酷いでたらめです。
耳を疑った私は、それは少し違うのではないかということでQ社の担当社員の方に計算式と計算方法がかかれた部分の保険約款をファックスしてくれるように依頼しました。
一週間ほどほどすったもんだをして、最終的に来週初頭に損害保険ADRに訴え出る、当事務所は最初に申し上げたとおり行政書士・社会保険労務士事務所である旨を再度告げ16時45分頃に電話を切りました。

翌朝、あっと驚く出来事が起きました…。朝9時ちょうどにQ社の北海道東地区担当の責任者という人から電話がかかってきたのです。
提示した支払金額は間違いであり、3,000万円の支払いになります。(末端の)嘱託の社員が一人で勝手に2,113万円という金額をお伝えしていましたというのです。さらに、かってに間違ったことでお知らせしましたが、支払時のチェックで当社の方で間違いなく3,000万円支払われることになったと思いますというのです。
皆さんは、Q社の地区責任者の話をどう思われるでしょうか?彼のいう(末端の)嘱託の社員が所属上長の稟議・決済も得ず2,000万円以上の金額の支払いの交渉金額をはっきり口に出す会社など見たことも聞いたこともありません。
支払金額の最終決済がなされ支払い部署に伝票が回ってきた場合に100億円とか10円の死亡保険金であれば、おかしいと問い合わせるかもしれませんがこの件でそのようなチェックが働くとはとうてい考えられません。
繰り返しになってしまいますがQ社は、当事務所に何とかご両親がQ社を訴えないように説得・尽力して欲しい、遅延損害金の支払いはしたくない、当社のインターネット販売の自動車保険の支払いも同じ部署で査定しているので弁護士特約で仕事を廻すといってきます。

もちろん私は正直依頼者がQ社を訴えないように説得はしませんでした。訴えれば最大100万円程度支払額が増えることや同じようなことがおきないように懲らしめるべきだと思うといいました。でも依頼人はまた「故人が喜ぶとは思えない。本当に争いごとの嫌いな子だったから…」と静かに涙を流していました。

○父親が漁業者の方で一カ所の保険代理店(漁協)で息子さんの生命保険共済と複数台の車両の保険加入をしていました。支払う際に保険事故として対象になるかどうかが検討されることやそれに伴い難しい事例の場合に時間がかかるのは当たり前のことですが、この代理店はご子息が自動車事故で死亡したと通知を受けているのにもかかわらず、支払い対象になる可能性(別居の未婚の子を担保)のある父親名義のZ社自動車保険について一言も教えませんでした。

Z社とその代理店には強いていうなら道義的な責任はあっても全く法律上の責任はない事例と思われます。しかしながら、手前味噌ではありますが、通常はZ社が支払った未婚の別居の子に対する他者運転担保を適用した人身傷害保険の保険金約2400万円の支払いは無かった事例と思われます。以下理由を説明します。

「支払い対象になる可能性(別居の未婚の子を担保)のある父親名義のZ社自動車保険について一言も教えませんでした」ということ自体はなんの問題もありません。なぜなら、加入時に十分に説明を行っているはずであるし、送付されてきた保険約款をきちんと読むことも勧められているはずだからです。
しかしながら実際には事前に十分な説明はされておらず、契約のしおりに類するものも簡便なものしか事前(少なくとも契約時以前に)手渡されていないのが現状でしょう。この責任はZ社ではなく保険の代理店と説明を受けて契約したと返答の上加入した契約者にあることになります。でも、自動車保険を契約するためにすべてを説明したら、少なくとも丸二日ほどの時間がかかるように思えます…。

「支払う際に保険事故として対象になるかどうかが検討されることやそれに伴い難しい事例の場合」ということでは、支払い対象になる可能性(別居の未婚の子を担保)ということの中で除外となる対象を承知し、勤務先の業務として乗車していないことや裁判例などの資料を用意して交渉に臨むなど高いスキルを持って交渉しなければ支払いの可能性は非常に低くなると考えられます。
現実に今回の事例でも、支払う→支払えない→支払うと回答は二転三転しています。またこれは保険会社独自の見解ではなく個別の二カ所の会社顧問を依頼している弁護士法人の結論を受けた回答を踏まえてのことです。
この件に関しては、Z社の名誉のためにも書き添えますが、全く善悪などの価値観の入り込む隙のない法務上の問題となります。

ただ今回の事例ということではなく、保険会社などとの交渉などではこちら側の肩書きが大きくものをいう傾向があるように思えるときがあります。単なる個人より行政書士などの一般士業→弁護士や中・大企業→弁護士法人や巨大企業というような順番で対応が違うのではという気がするときがあります。

気のせいなのかな…。

3)結果
保険会社の言いなりの場合:労災保険887万円+人身傷害保険2,113万円+葬祭料50万円=3050万円

当事務所で案件として扱った結果:労災保険887万円+Q社人身傷害保険3,000万円+Z社人身障害保険約2,400万円+葬祭料150万円=6,437万円

なんとその差額は3,387万円です。倍額以上です。

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